Wednesday, August 12, 2015

質的な違い、量的な違い

自分の目の前にいるクライエントと自分との間にある心理活動の差を、質的にではなくて、もっぱら量的に見るような姿勢を中心にして、構成されるはずのものだと思います。
質的な違いがあるというふうにみるということは、これは、共感不能の部分をピックアップしていくことになります。質的に違いがあるものは、共感できないわけですから、ヤスパース流にいえば、共感不能の領域を、次々にとり出していくことになりますので、診断作業としては、ちゃんとつじつまがあったとしても、あるかなきかの可能性を模索しては、そこから、いままで思いもつかなかった可能性を発掘して、共に喜ぶ、というような内省作業とは、相容れないのです。
神田橋條治「治療のこころ」巻二

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