Sunday, May 21, 2006

虚像

S氏の作品が立体的な変貌を遂げた。やや平面的な昨年から前に張り出した立体的な要素と重力の要素が立ち現れてきた。それとともに作品に対する我々の目線も作品そのものから白壁に投影される陰に移って行った。作品そのものに対峙すると細部、その作品の構成要素にエネルギーが注がれる。彼のように廃材を使う作品はなおさらだ。しかし、陰は明暗質感はあるとはいえ均一な存在でありそれゆえ、その陰全体と対峙する事となる。私は実物の写像を通して初めて実物の全体と対峙する事ができた。

陰は実物の写像であり、実物の写像が陰である。別のものでありまた同じものである。ラーガの写像はシュルティであり、シュルティはラーガの写像である。別のものであると同時に同じものである。そういうサウンドをこの作品は受け入れてくれるだろうか。

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