Sunday, May 07, 2006

untitled

人が音を聴くという行為は客観的な事象だという事ができるだろう。なぜならばおそらく大多数の人々の知覚器官は生理的にほぼ同じ機能を持つからである。だが、人が音楽を聴くという行為は1%のよどみもない主観的な事象である。なぜなら音楽はその人の心の中に、心が形作るものであるからだ。心はその人の過去に根ざした経験が形作る。誰一人として全く同じ過去や経験を持たないのと同じように、たとえ全く同じ状況で同じ音を聞く場に居合わせたとしても、誰一人として同じ音楽を聴く事はできない。
音楽家は音楽が人々の主観から離れては存在し得ないということを身をもって感じているし、納得もしている。しかし、彼らは普遍的な音楽を求め彷徨う。主観も極まれば普遍を獲得するかもしれないという希望と絶望をもってしてドンキホーテのように疾走する。
その矛盾、心の中の Bug も音楽なのではないか。と思う。

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