Tuesday, October 11, 2005

記号としての Tabla bol

タブラのサウンドは口唱歌となって記号へと還元されてゆく。最小単位の記号としてそれぞれの音色を区別する記号(dha.. dhin.. tin.. tete.. etc.)が選ばれる。その最小単位(以下一次記号と略す)を組み合わせる事でより高次の記号群を扱う事になる。例えば母音と子音を組み合わせて単語を形作る一般的な言語のように。
最小単位の記号を組み合わせる事でできる記号群(言語で単語のような存在。以下二次記号と略す)は無数に存在し、それぞれが独自のサウンドのニュアンスを持ち、そしてその固有のニュアンスを保った状態でのヴァリエーションを持つ。具体的にはその記号群は Q'aida や Rela などのカテゴリーに分類されている。
さらにその二次記号は(印度音楽上の)文法に則って自由に組み合わされ(単語を組み合わせて文を作るように)より高次の記号(三次記号と略す)となる。二次記号を組織し参じ記号を生成する際に用いられる文法がいわゆる印度音楽でのリズム理論ターラと呼ばれる文法である。
また、それ以外にも俳句や短歌などに相当するかのような Tukra.. chakkardar.. 等の種類の三次記号も存在する。それはターラ文法に則った文というよりもむしろ記号の数や歯切れの良さ、要素を組み合わせる事でできる美、などを決まった枠の中にインストールしたもので、文法を離れて存在する。

タブラというのは結局如何に記号を組み合わせて魅力的な文を作ってゆくのか、というポイントに集約される。

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